第1話 「宅配便でーす」 ドアの向こうから声が聞こえたので扉を開けると、いつも来る配達のおじさんが笑った。 「ハンコお願いします」 「はい、ここですね」 送り主を確認すると母からだった。 (またいつもの缶詰だろうなぁ) 「ありがとうございましたー」 扉を閉めて、段ボールを開ける。 中にはやはり魚やお肉、果物などの缶詰が入っていた。 一人暮らしをするようになってから不定期で送られてくる缶詰は、もはや一人で消化しきれないほどの量に達しているのだが、好意を踏みにじるようでもう要らないの一言が言えない。 (すっごいイケメンのお兄さんが配達してくれたらいいのになぁ) 「こんにちは。宅配便です」 「え?」 さっきのおじさんとは違う声。 扉を開けるとイケメンのお兄さんが立っていた。 「お隣にお届け物なんですが、不在時の預かり主様になっていますよね?」 「ええ。海外が多い方なので……」 「では、ハンコをお願いします」 差し出された紙と一緒にマリン系の香水の香りが漂う。 (いい匂い~) 「ありがとうございました」 お兄さんは、丁寧にお辞儀をすると静かに扉を閉めてくれた。 (かっかっこいい~) 長身、髪はサラサラストレート、いい香り、笑顔も最高! こんなにイケメンの宅配業者に会ったことはない。 すぐに業者名をチェックし、実家へこれからはここで頼んでと連絡をした私はパソコンを開いた。 デザインの仕事をしている私は、パソコンを開くこと=仕事に繋がるので家ではほとんど触らない。 しかし、あんなにイケメンのお兄さんにはなかなか会えない。 また会うための手段は、ネットショッピングしかない。 特に欲しい物はないが、トイレットペーパーや洗剤などの消耗品はあっても困らない。 お兄さんの宅配業者を取り扱っているお店を選び、注文完了。 早ければ明後日にあのお兄さんと会える。 私は、ワクワクしながらカレンダーを見つめた。 ポチッとお願いします☆(・ω

